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益軒先生の暴論 [それ、ウソです]

 それ、ウソです(48) 

 益軒先生の暴論

 豆腐には毒あり。気をふさぐ。されども新しきを煮て、飪(にえばな)を失はざる時、早く取りあげ、生萊菔(なまだいこん)のおろしたてを加へ、食すれば害なし。=貝原益軒『養生訓』巻第四 飲食下

 豆腐には毒があって、食べると、気をふさぐ(元気を失う。憂うつになる)。 

 しかし、新しいのを湯豆腐にして、煮えたての味のなくならないうちに、大根おろしをそえて食べれば害はない─と、おっしゃっているのである。

 益軒先生の『養生訓』には、これまでしばしば拙文のネタにいただくなど、たいへんお世話になっているが、こればかりは「お説ごもっとも」と承るわけにはいかない。

 「豆腐には毒あり」なんて、ひどい暴論だと思う。

 豆腐が第一級の栄養食品であるのは、いまはだれでも知っている。

 豆腐、納豆、きな粉などの大豆製品には、良質のたんぱく質が豊富で、リノール酸、リノレン酸などの脂肪酸、ビタミンやミネラル、サポニン、イソフラボンなどの特効成分も多く含まれている。

 とりわけ、近年注目を集めているのが、イソフラボンのさまざまな健康効果だ。

 イソフラボンは、女性ホルモンと同様の作用をする。

 女性ホルモンは、動脈硬化や骨粗しょう症などの進行を抑える。

 だから閉経前の女性には脳卒中や心筋梗塞や骨粗しょう症が少なく、女性ホルモンの分泌が低下する閉経以後に急にふえ始める。

 豆腐や納豆をよく食べると(イソフラボンを多くとれば)、そうした病気の進行を抑えるのに有効な働きをする。

 また、前立腺がんに対する女性ホルモンの効果もよく知られている。

 前立腺がんは男性ホルモンの作用によって増殖するが、女性ホルモンはそれと拮抗(きっこう)作用をするからだ。

 前立腺がんは、欧米では肺がんと並ぶ死亡率の高いがんだが、日本人男性のそれは全がん中8位、それほど高くない。

 半面、50歳以上の男性の前立腺がんの発生率を見ると、アメリカ人は約35%、日本人は約22%、そう大きな開きはない。

 だが実際に症状が現れて治療が行われる前立腺がんの頻度は、アメリカ人では人口10万人当たり約50人だが、日本人はその10分の1以下だ。

 発生率はそれほど違わないが、発症率や死亡率には大差がある。

 このナソを解くカギの一つが、日本人の常食、みそ汁、豆腐、納豆などの大豆製品に含まれるイソフラボンと考えられている。

 もう一つ、イソフラボンは、がんに向かって血管が育っていくのを抑える(つまりがんの増殖を抑える)という研究も報告されている。

 平成養生訓には「豆腐は薬なり」と記されるべきだろう。

 先年、日本の伝統食を考える会が、「あなたのおふくろの味は?」と、主に京阪神に住む男性500人にアンケートしたところ、1位はみそ汁、2位は冷やっこ、湯豆腐など豆腐のおかず、3位がうどん、そばなどの麺類だった。

 豆腐はみそ汁の具にもよく使われる。

 1位がらみの2位ということになる。

 淡泊な味の中にさまざまにすぐれた栄養を含み、冷たくても、温かくても、うまくて、飽きない。

 豆腐は、おふくろそのもののようにも思える。

 「浮世渡らば、豆腐で暮らせ。マメで、シカクで、ヤワラカで」

 豆腐は人生訓も教えてくれる。
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