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欧州で麻疹大流行 [医学・医療・雑感小文]

欧州で麻疹大流行、前年4倍増

厚生労働省は2月20日、欧州での昨年(2017年)の麻疹発生件数が前年に比べて400%に増加したと発表した。

海外渡航中の感染に注意を呼びかけている。

世界保健機関(WHO)欧州事務局の管轄地域で麻疹が再び増加している。

発表によると、同地域で昨年に麻疹を発症した患者は2万1,315人で、死者は35人。

患者数は2016年の5,273人に比べ4倍増加した。

 昨年は、同事務局管轄地域53カ国のうち15カ国で大規模(患者100人以上)な麻疹の流行が発生した。

感染者はルーマニア(5,562人)、イタリア(5,006人)、ウクライナ(4,767人)の順に多く報告された。

近年、これらの国では、全体的な定期予防接種率の低下や、ワクチン供給の中断、疾病調査システムの機能不全などの問題があったという。

今年(2018年)2月20日には、同地域11カ国の保健大臣が会合を開き、欧州ワクチン行動計画で定めた麻疹および風疹の排除を含む目標達成に向け協議が行われた。

わが国では、外務省が2月16日に「海外における麻しん(はしか)・風しんに関する注意喚起」を発出。

海外では麻疹や風疹の感染リスクがあり、予防接種を2回受けていない人は渡航前の接種を検討するよう呼びかけている。

海外における麻しん(はしか)・風しんに関する注意喚起 外務省

●アジア・アフリカ・ヨーロッパ諸国などでは、麻しん・風しんの感染例が多く報告されています。

●海外では麻しん・風しんに感染するリスクがあることを認識し、麻しん・風しんの予防接種を2回受けていない方は、受けることを検討してください。

●国内では、輸入例を発端とした集団感染も発生しています。

1.麻しん・風しん排除への取り組み

(1)日本は、2015年3月に世界保健機関(WHO)から、土着の麻しんウイルスが存在しない「麻しん排除国」に認定されましたが、その後も海外からの輸入例を発端とした集団発生事例が報告されています。

また、厚生労働省は、2020年までの「風しん排除」の達成を目指して、海外に渡航する人、風しんに対する免疫の不十分な人が多い30歳代後半から50歳代までの男性、妊娠を希望している女性などに対して、風しんの予防に関する啓発を行っています。

(2)これらを踏まえ、同省は、麻しんもしくは風しんにかかった(検査で診断された)ことが明らかでない人、予防接種を2回接種していない人または接種歴が不明な人は、予防接種を受けることを検討するよう呼びかけています。

2.麻しんについて

(1)麻しんは、感染力が非常に強く、空気感染や飛沫感染によって簡単に人から人に感染する急性のウイルス性発しん性感染症です。

潜伏期間は10~12日で、免疫が不十分な人が感染すると高い確率で発症します。

主な症状は発熱、咳、鼻汁、結膜充血、発しんなどですが、まれに肺炎や脳炎になることがあり、先進国であっても、患者1,000人に1人が死亡するといわれています。

(2)2016年には全世界で約19万人の患者が報告されました。

最近では、イタリア、ルーマニアなどのヨーロッパにおいて麻しん報告数の増加が確認されています。

(参考)厚生労働省ホームページ:麻しんについて

3.風しんについて

(1)風しんは、感染力が強く、飛沫感染によって人から人に感染する急性のウイルス性発しん性感染症です。

潜伏期間は14から21日で、主な症状は発熱、発しん、リンパ節腫脹などですが、まれに脳炎や血小板減少性紫斑病を合併するなど、入院加療が必要になることもあります。

また、感染しても症状がでない不顕性感染が15~30%程度存在します。

妊娠20週頃までの妊婦が風しんウイルスに感染すると、出生児が先天性風しん症候群(CRS)を発症し、難聴・白内障・先天性心疾患などの病気をもって生まれてくる可能性があります。

近年、大規模流行の頻度は少なくなったものの、海外で感染して帰国後発症する「輸入例」の割合が増えています。

(2)2016年には、アフリカ及びアジアを中心に、全世界で約2万2千人の患者が報告されました。

(参考)○厚生労働省ホームページ:風しんについて

4.麻しん・風しんの予防について

麻しん・風しんの発生がない、あるいは非常に少ない国・地域では、滞在中に麻しんもしくは風しんを発症すると、感染の拡大防止のため、発症した本人はもとより、同行者も移動を厳しく制限されることがあります。
そのようなことを避けるためには、麻しん・風しん混合ワクチンによる定期の予防接種を2回受け、麻しん・風しんに対する免疫をつけておくことが重要です。

このため、麻しんもしくは風しんにかかった(検査で診断された)ことが明らかでない方が海外渡航される時には、あらかじめ母子手帳などで麻しん・風しんの予防接種歴を確認し、予防接種を2回接種していない方、または接種歴が不明な方は麻しん風しん混合ワクチンによる予防接種を検討してください。

なお、定期の予防接種は、生後12月から生後24月に至るまでの間にある小児(1期接種)及び小学校就学の始期に達する日の1年前の日から当該始期に達する日の前日までの間にある5歳以上7歳未満の小児(2期接種)に対して実施しています。

麻しん・風しんの予防接種に用いるワクチンは、麻しん・風しん2つの疾患への対策という観点から、原則として、麻しん風しん混合ワクチンの使用が推奨されています。

(参考情報) 国立感染症研究所ホームページ:麻疹の発生に関するリスクアセスメント第一版

 国立感染症研究所ホームページ:風疹および先天性風疹症候群の発生に関するリスクアセスメント第三版

5.海外渡航の際には万一に備え,家族や友人,職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。

3か月以上滞在する方は,大使館又は総領事館が緊急時の連絡先を確認できるよう,必ず在留届を提出してください。

3か月未満の旅行や出張などの際には,渡航先の最新安全情報や,緊急時の大使館又は総領事館からの連絡を受け取ることができるよう,外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。

(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
  電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関係課室連絡先)

○外務省領事局政策課(海外医療情報)
  電話:(代表)03-3580-3311(内線)5367

○外務省海外安全ホームページ
  http://www.anzen.mofa.go.jp/(PC版)
  http://www.anzen.mofa.go.jp/sp/index.html(スマートフォン版)
  http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp(モバイル版)

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春の「気象病」 [医学・医療・雑感小文]

春が近づくと気分が落ち込む…「気象病」? 

3月から4月にかけての早春は「木の芽時(このめどき)」とも呼ばれます。

冬から春への季節の変わり目は、体調や精神的なバランスを崩しやすい時期としてもよく知られています。

憂うつな気分に落ち込んだり、うつ病を発症したりしやすい時期なので要注意です。

こうした気象の変化に影響される疾患は、近年「気象病(あるいは天気病)」とも呼ばれるようになってきました。

気象病は、医学用語ではありませんが「温度・湿度・気圧・天候の変化から起こる心身の不具合」として近年認知されてきました。

これと似ている「季節病」は、「ある特定の季節に集中して現れる心身の不調」とされています。

つまり、どちらも気象の変化に影響を受けるのですが、季節病は長期的な変化、気象病は短期的な変化に影響を受けるという点で区別しているようです。

代表的な季節病に、春の花粉症や冬のインフルエンザなどが挙げられます。

一方、気象病には心身のさまざまな疾患が分類されています。

関節痛、頭痛、耳鳴り、めまい、不整脈、高血圧、脳卒中、心筋梗塞、不眠、不安、抑うつなどです。

春の気象の特徴

1年で最も天候が変わりやすいのは冬から春と、夏から冬にかけてです。

この時期は、北緯33~55度付近で低気圧から延びる寒冷前線・温暖前線が頻繁に移動を繰り返すため、天気が変わりやすくなります。

たとえば、春先は低気圧が短い周期で行き来し、晴れの日が続かず気温・湿度・気圧が乱高下します。

寒暖差も激しく、最高気温が前日は25℃の夏日、翌日は10℃という極端な差になることもあります。

また、1日の最低気温と最高気温の差が激しくなる日内変動という現象も最近顕著に見られます。

そんな気温・湿度・気圧といった気象の変化に対して、敏感に反応するのが「自律神経」です。

全身の調整や平衡感覚に関わっている自律神経は、体温調節でも重要な役割を果たしています。

自律神経は、気温が上がると末梢血管を開いたり発汗を促したりして放熱をしますし、気温が下がると末梢血管を収縮させて代謝を高め、体温を保とうとします。

気候の変動が激しいと、これらの調整も同じように激しくなりますから、つまりは自律神経の酷使につながります。

春先は、自律神経を疲弊させるストレスフルな季節であるといえるでしょう。

結果として、気象病に見られるさまざまな症状を引き起こすのです。

年度の変わり目:生活の変化も一因

天候だけでなく、社会生活においても「変動」が多くなりがちな時期です。

4月から新年度という組織・団体は多く、入学・入社・転勤・異動・昇進・転居・転向…など、社会生活が大きく変わる時期でもあります。

これまでなじんだ職場や住環境を去る、初めての仕事や環境に臨む、など大きな変化に適応するには、ある程度の時間と頑張りが必要です。

これが知らず知らずのうちに、心身へのストレスとして蓄積されていきます。

しかし、本人に頑張っている意識が強く、ストレスの慢性化に気づかないケースも多いのです。

こうした生活の変化も、天候同様に自律神経を激しく働かせる要因になってきます。

春の抑うつ

新年度はうつ病や統合失調症など精神疾患の新入院患者数が多くなる時期です。

また、患者である人たちも、この時期に調子が悪くなることが多いようです。

睡眠障害や不安障害が増えるという指摘もあります。

気圧の低下や日常生活の変化により、自律神経のバランスを崩してうつ病などの引き金になるのでしょう。

精神疾患に限らず、その一歩手前の「自律神経失調症」「適応障害」なども然り、やがては「5月病」「6月病」につながっていきます。

ちなみに、うつの主症状は、気分のレベルでいうと意欲の低下と興味の喪失です。

さらに、食欲不振や不眠、性欲減退、疲れやすいといった生理反応の低下も起こります。

春の不調の予防法は?

春が訪れる前の冬は、「冷え」と「乾燥」からもともと自律神経や免疫が弱っている状態といえます。

この状態を持ち越して下地にしてしまうと、春先の変化に耐えることが難しくなります。

ですから、冬のうちから次のことを実行し、習慣化しておきましょう。

生活習慣を整える

⇒睡眠・休養・食事・運動を無理のない範囲でおこない、バランスよく調整しておく

ストレスコーピング

⇒ストレスを上手に発散して、ストレスへの抵抗力を高めておく

そして、辛いときはひとりで悩まない、ひとりで頑張りすぎないことです。

抱え込まず、家族や相談できる相手に話を聞いてもらいましょう。

症状の程度によっては、早めに専門医を受診するほうが重症化を防げます。

【参考】
渡邊章範『その痛みやモヤモヤは「気象病」が原因だった』(青春出版社 2015年)

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ

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慢性疾患とがんリスク [医学・医療・雑感小文]

慢性疾患の集積、がんリスク上昇

米テキサス大のチームは、台湾の健診受診者約40万人(男性48.0%、平均年齢男性40.5歳、女性40.3歳)対象の前向きコホート研究を行った。

標準的な健診を受けた18歳以上のがん既往がない40万5,878例(男性48.0%、平均年齢男性40.5歳、女性40.3歳)を登録。

慢性疾患のマーカー8種(心血管疾患3種、糖尿病、腎臓疾患2種、肺疾患、痛風関節炎)、

① 血圧②総コレステロール(TC)③心拍数④空腹時血糖⑤蛋白尿⑥糸球体濾過量⑦1秒量および努力肺活量⑧尿酸―を測定。

② 平均8.7年(1.0~12.9年)の追跡期間中に296万6,587人・年が集積され、新規がんが9,273例、がん関連死が3,779例登録された。

慢性疾患(心血管病、糖尿病、腎臓病、肺疾患、痛風関節炎)が,個別または集積した場合のがんリスクへの影響を検討。

がん発症リスクの20%以上、がん死亡リスクの30%以上に寄与することが示された。

そのリスクの大きさは、主要生活習慣因子(喫煙歴、運動不足、肥満、飲酒歴、野菜果物摂取量不足)の集積に匹敵する可能性がある。

多変量解析の結果、血圧と肺疾患を除く8種の慢性疾患とそのマーカーは、それぞれ単独でがん発症リスクを7~44%有意に上昇させた。

8種の慢性疾患とそのマーカーはすべて独立してがん死リスク上昇と関連し、12~70%有意に上昇させた。

がん発症部位は、肝、膀胱、腎、口腔、胃の順で多かった。

同スコアが高いほど余命損失も大きく、最高位群(15点以上)は男性で13.3年、女性で15.9年の損失に関連していた。

運動で慢性疾患関連がんリスク低減

慢性疾患リスクスコアとがん発症率、がん死亡率との正の関連は、身体活動活発群では、不活発群に比べて弱かった。

身体活動は慢性疾患によるがん発症リスクを38~54%(平均48%)、がん死亡リスクを14~39%(平均27%)低減したと算定された。

TC低値とがんとの関係は未確立

慢性疾患の集積は、5つの生活習慣因子集積と同様にがんリスクに重大な影響を及ぼす。

疾患マーカーは単独よりも集積した場合にがんリスクが上昇する。

身体活動は、慢性疾患関連がんリスクを低減するアプローチとして有望である。

これらの知見は、新たながん予防戦略の開発および慢性疾患管理の改善に重要な示唆を与える。

疾患マーカーの中でTC(総コレステロール)低値と蛋白尿は、がん高リスクであることが示唆された。

蛋白尿については、先行研究とおおむね矛盾がない。

TC低値とがんリスクとの関係は十分に確立されていない。

今回の研究では、追跡期間10年未満のがんを除外し、肝酵素、B型肝炎ウイルス感染の状態、腫瘍マーカー(αフェトプロテイン)を調整後も、TC低値とがんリスクの逆相関関係は維持された。

用量反応関係が示され、未診断のがんや肝疾患による逆の因果関係の可能性を最小限にし、TC低値とがんリスクの逆相関関係を支持するデータが示された。
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マラソンとAED [医学・医療・雑感小文]

東京マラソンの救命率は100%

あす2月25日は、約3万7千人の市民ランナーが走る東京マラソン、「東京がひとつになる日」です。

マラソンは多くの市民が参加する人気のスポーツですが、心停止を起こす人数がもっとも多いスポーツでもあります。

競技人口と競技時間を考慮すると、心肺停止を起こす確率の最も高いスポーツは剣道といわれていますが、競技人口の多さと競技時間の長さから、人数ではマラソンが一番です。

わが国では毎年、マラソンによる心肺停止例が10件近く報告されています。

さまざまな距離別に開催されるマラソン大会をまとめて、スタート地点を0%、ゴール地点を100%とすると、とくにレース後半4分の1の箇所で、約7割が心肺停止を起こしています。

こうしたデータを考慮しながら、東京マラソンでは綿密に救命体制が整えられています。

東京マラソンが2007年に開始されてから11回の大会が開催され、8件の心停止がありました。

すべてAEDや心肺蘇生法によって救命されています。

その中には、ランナーや観戦する市民が駅や交番のAEDを使用して救命した例もあり、主催者の準備と一般市民の救命に対する意識向上が合わさって、事故を防いでいるといえます。

これはきちんとした救急体制を整え、心肺停止後、早い時間に胸骨圧迫とAEDを行えば、救命率が非常に高くなることを実証しています。

東京マラソンでは、モバイルAED隊と呼ばれる動く自転車部隊と、BLS隊と呼ばれる一定の距離ごとに配置されたAED隊がいて、緊急時の体制を整えています。

モバイルAED隊は、44名が2人一組となり、コース上を約1.5km間隔で、マウンテンバイクに乗り、AEDや応急処置を行うための資器材を持ち、巡回します。

緊急事態の際はいち早く駆け付け、心肺蘇生法や応急処置を行います。全員が救急救命士です。

また、救護naviというスマートフォンのアプリを使用して本部が彼らモバイル隊の動きをGPSによりリアルタイムで把握し、位置などの指示をしています。

BLS隊は74名の救急救命士を目指す大学生が2人一組になり、AEDを持ち、待機しているチームです。

コース中盤までは1kmごと、後半は心肺停止例が多いというデータから、800メートルごとに距離を縮めて待機しています。

コースの最初のほうで待機していたBLS隊はランナーが走り過ぎると後半のコースに移動し、最終的には400mごとにAEDがある体制を構築しています。

東京マラソンに限らず、全国で数多くのマラソン大会が開催されていますが、すべての大会で主催者側が危機管理意識を持って充分な救急体制を準備し、参加者が自らの健康管理はもちろんのこと、日頃から心肺蘇生法を学べば、健康で楽しむべきスポーツの場で命を落とすような悲しい出来事は減らせると思われます。

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アナフィラキシー&エピペン [医学・医療・雑感小文]

 アナフィラキシーはアレルギーの一つの型。

 重篤なアレルギー反応が急速に全身に出現し、ショック死することもある。

 原因は食物(鶏卵、牛乳、小麦、そば、ピーナツなど)、蜂毒(蜂刺され)、薬物(ペニシリン、アスピリンなど)、ラテックス(天然ゴム)など。

 緊急性が高いアレルギー症状がある場合は、直ちにエピペン[レジスタードトレードマーク](アドレナリン自己注射)を使用する。

 エピペン[レジスタードトレードマーク]の安全キャップを外し、大腿部前外側にエピペン[レジスタードトレードマーク]の先端を軽く当て、カチッと音がするまで強く押し当てそのまま5つ数えると筋注される。

 成人には0.3mg製剤を使用し、小児には体重に応じて0.15mg製剤または0.3mg製剤を使用する。

 安静にさせ、エピペン[レジスタードトレードマーク]を使用してから10?15分後に症状の改善が見られない場合、別のエピペン[レジスタードトレードマーク]を使用する。

 同剤は一度注射すると再度使えない仕組みになっているので、同一製剤を二度使用しない。

 アナフィラキシーショックの既往がある患者には、エピペン[レジスタードトレードマーク]を常に携帯させ緊急時には自分で使用させる。
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アレルギーを解明した夫妻 [医学・医療・雑感小文]

 1日遅れの旧聞になりましたが、きのう2月20日は「アレルギーの日」でした。

 1966年のこの日、石坂公成・米デンバー小児ぜんそく研究所免疫部長(当時)が、共同研究者の照子夫人とともに発見した、IgE抗体に関する最初の発表を、全米アレルギー学会で行った。

 これを記念して、日本アレルギー協会が1995年にアレルギーの日と制定、その前後1週間(毎年2月17〜23日)をアレルギー週間としてさまざまな活動を行っている。

 アレルギーの症状は、体の外から侵入した異物(抗原)と、生体内にできた物質(抗体)の反応(抗原抗体反応)によって引き起こされる。

 アレルギー疾患で最も普通にみられる1型アレルギー(花粉症や気管支ぜんそくなど)の抗原─花粉、ダニ、カビ、ダイズ、ソバなど─に対してつくられる抗体が、IgE(免疫グロブリンE)であることを、石坂博士夫妻は突き止めた。

 IgE抗体の発見によって、世界のアレルギー医学とアレルギー疾患の診断・治療は飛躍的に進歩した。

 医学の基礎研究が、これほど短期間のうちに臨床医学に反映した事例は、前例がないといわれる。
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ジャズとクラシック、脳の活動に違い [医学・医療・雑感小文]

 音楽家の脳は一般人とは異なる。

 音楽をつくる(奏でる)には、特に発達した脳構造による多彩な能力の複雑な相互作用が必要とされる。

 ドイツの科学者、Sammler氏らはは、脳波検査(EEG)を用いてジャズピアニストとクラシックピアニストの脳活動を比較した。

「音楽家の能力は、想定されていたよりも緻密に組み込まれ、音楽のスタイルによって異なることが分かった」

 音楽の練習によって脳の感覚運動の柔軟性が誘導されることは知られている。

 しかし、熟練したステージパフォーマンス(演奏)のために音楽家がどのような練習を重ねたかによって顕著な違いが見られる。

 例えば、ジャズとクラシックのように異なるスタイルの音楽を切り替えて演奏することは困難だが、非専門家にとって困難というわけではなく、10年以上の経験を持つプロの音楽家であっても容易にできることではない。

 世界的に有名なジャズピアニストのKeith Jarret氏は、「ジャズとクラシック、両方を演奏するコンサートに興味があるか」と尋ねられたとき、

「いいえ」と答え、「脳の回路により、実質的に不可能だ。

 演奏するときは両者それぞれに異なる回路を必要とする」と述べた。

 今回、Sammler氏らは、プロのピアニスト30人を対象にピアノ演奏と脳活動の関係を調査。

 30人のうち半数は2年以上ジャズに特化した練習を行っており、残りの半数はクラシックのレッスンを受けていた。

 すべてのピアニストに、スクリーン上の予期せぬハーモニーまたは予期せぬ演奏方法やミスを含むピアノのコード進行を演奏する手の映像(音なし)を見ながら、リアルタイムで模倣してもらった。

 映像には音列構造の高度な設計を評価するための和音と文脈の長さを表現した部分、および単一行動の低レベルのパラメータ指標を評価するための演奏方法を表現した部分が含まれた。

 楽器の音に集中し、妨害音がない環境を確保するため、試験は無音の環境で弱音付きのピアノを使って実施された。

 対象者は不規則な運指や演奏法にも反応しなければならず、演奏している間は頭上のEEGセンサーで脳波が記録された。

 その結果、ジャズピアニストではβ波の低下が見られ、演奏方法を犠牲にしてでも素早く和音を修正していた。

 クラシックピアニストでは前頭部のθ波が強く観察されており、不協和音には合わせられないこともあったが、β波の低下も見られ、演奏方法に対しては常に準備され卓越した能力を発揮した。

 Sammler氏は、「脳活動が異なる理由は、クラシック曲に対する熟練した解釈とジャズにおける独創的な即興演奏という2つのスタイルは、音楽家に課す負担が異なることによると考えられる」と述べている。

 それによって、音楽家の脳では異なる処理が確立されており、ピアノ演奏中の両スタイルの切り替えをより難しくしている可能性がある。

 ジャズピアニストとクラシックピアニストの大きな違いの1つは、ピアノ演奏時の動作とその方法である。

 原則として、ピアニストのスタイルにかかわらず、まずはこれから演奏すること(押すべき鍵盤など)を知ることを考え、次にどのように演奏するか(運指など)を考える。

 クラシックピアニストは第2段階の"どのように"を重要視し、技術に個人の表現力を付加して曲を完璧に演奏することに焦点を当てている。そのため、運指の選択が重要となる。

 一方で、ジャズピアニストは"すること"に集中する。彼らは常に、即興演奏と予期しない和音の創作などに順応して演奏すべく準備をする。

 また、ピアニストはそれぞれが重視するポイントに焦点を合わせて練習していることも示唆された。

 Sammler氏は「今回の試験では、同じ楽曲の演奏であってもジャズピアニストとクラシックピアニストでは脳の活動パターンが異なることが観察された。

 また、演奏中に脳内で何が起こっているのかについて完璧に理解したいと思っても、特定の音楽ジャンルを対象にするだけでは不十分であることも明らかになった」と述べている。

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「におい物質」が血糖値を下げる [医学・医療・雑感小文]

 新しい糖尿病治療薬の開発に期待

 血糖値を下げるインスリンの分泌が、特定のにおい物質に反応して活発化することを、東北大などの研究チームが突き止めた。

高血糖時のみにインスリン分泌を促進する、これまでにない新しいメカニズムの糖尿病の治療薬を開発できる可能性があるという。

 においを感じるための「嗅覚受容体」が膵臓のβ細胞にもある。

 鼻の嗅覚神経で「におい」を感知することに役立っている「嗅覚受容体」が、ヒトやマウスなどで、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞にも存在していることを、東北大学などの研究グループが発見した。

 さらに、「オクタン酸」というにおい物質が、この膵臓β細胞にある嗅覚受容体のひとつ「Olfr15」によって感知されると、血糖値が高いときにだけインスリン分泌が促され、血糖値が改善することを明らかにした。

 においを感じるためのタンパク質である「嗅覚受容体」は、鼻の神経にあり、空気中のにおい物質を感知する働きを担っている。

 研究グループは、血糖値を低下させるホルモンであるインスリンを分泌する膵臓のβ細胞に、この嗅覚受容体が複数発現していることを世界ではじめて明らかにした。

 このうち「嗅覚受容体15」に着目し、マウスなどを用いて実験したところ、におい物質である「オクタン酸」と呼ばれる脂肪酸がこの受容体に作用すると、血糖値が高くなっている時のみに、インスリンの分泌が促進されることが明らかとなった。

 この嗅覚受容体はヒトの膵臓β細胞にも発現しているという。

 インスリン分泌が「におい物質」により増強

 実験では、膵臓のβ細胞はブドウ糖濃度が高い培養条件(高濃度ブドウ糖)でのみ、インスリン分泌はオクタン酸により増強した。

 Olfr15の発現を低下させるとその効果はみられなくなった。

 また、マウスにオクタン酸を経口投与した後にブドウ糖を投与すると、血糖値が上昇したときだけ血中インスリン濃度が高まり、血糖値が改善した。

 今回の発見によって、インスリン分泌を促進する新しい仕組みが明らかになった。

 糖尿病は、さまざまな原因で血糖値が上昇する疾患だが、日本人を含むアジア民族では、原因としてインスリン分泌の低下が特に重要であることが知られる。

「今回、発見された膵臓β細胞の嗅覚受容体の活性化によるインスリン分泌の促進は、日本における糖尿病治療のニーズに合致したものと考えられます」と、研究グループは述べている。

 今回の研究成果を応用すれば、低血糖を起こさずに血糖値を下げる新しいタイプの糖尿病治療薬を開発できる可能性があるという。

 研究は、東北大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科学分野の山田哲也准教授、宗像佑一郎医員、片桐秀樹教授らの研究グループが、同医工学研究科病態ナノシステム医工学分野の神崎展准教授、大阪大学大学院医学系研究科幹細胞制御学分野の宮崎純一教授らと共同で行ったもの。

 研究は、日本医療研究開発機構(AMED)や文部科学省科学研究費補助金の支援を受けて行われたもので、成果は国際科学誌「Scientific Reports」(電子版)に発表された。
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「やる気ホルモン」=甲状腺ホルモンの働きと病気 [医学・医療・雑感小文]

甲状腺は「のどぼとけ」のすぐ下にあり、羽をひろげた蝶々のような形をしています。

甲状腺は、脳の下垂体から甲状腺刺激ホルモン(TSH)を受け取ると、甲状腺ホルモン=トリヨードサイロニン(T3)とサイロキシン(T4)を分泌します。

甲状腺刺激ホルモンは、甲状腺ホルモンのわずかな変動も敏感にキャッチし、甲状腺ホルモンの量が一定に保たれるように調節しています。

一方、甲状腺ホルモンは、脳に作用してTSHの分泌を抑制しています。

つまり、両者は互いにバランスを取りあっている関係です。

甲状腺ホルモンは全身の代謝にまつわるさまざまな働きをします。

甲状腺ホルモンには、体の発育を促し新陳代謝を活発にする役割があります。

甲状腺ホルモンのおもな役割は次の三つです。

成長や発達を促す:胎児や小児の正常な成長・発達を促す

細胞の新陳代謝を高める:脂肪などを燃やして必要なエネルギーをつくり、体の成長や機能を高める

交感神経を刺激する:交感神経が刺激されると、手が震えたり脈が速くなったりする

このように、甲状腺ホルモンには「活動のためのエネルギーをつくりだす」という働きがあります。

「やる気ホルモン」といわれるのは、快適な生活をするために必要不可欠なホルモンという見地からでしょう。

甲状腺機能の異常にともなう病気

甲状腺の働きが悪くなると、次のような病気になる可能性があります。

甲状腺機能亢進症 

甲状腺の機能が過度に高くなり、ホルモン分泌が過剰になる病気です。

代表的なのはバセドー病(グレーブス病とも呼ばれる)です。

思春期や更年期の女性に多いのですが、甲状腺の病気のなかでは比較的男性にも多く発症しています。

動悸や息切れ、月経不順、不妊、下痢、体重減少、多汗、震え、甲状腺の腫れなどの自覚症状があります。

また、病状が進むと、この病気の特徴としてよく知られる、眼球が飛び出してくる症状が現れます。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンの分泌が足りなくなる病気で、橋本病に代表されます。

原因は自己免疫疾患といわれ、顔のむくみやだるさ、眠気、無気力、皮膚の乾燥、月経異常などの自覚症状がでます。

甲状腺の炎症

甲状腺の炎症には次の3つがあります。

(1)急性化膿性甲状腺炎:甲状腺に細菌感染が起こり、炎症となり痛みがでる

(2)亜急性甲状腺炎:甲状腺に腫れや痛み、しこりなどがでる。ウイルス説が有力だが原因は不明

(3)慢性甲状腺炎(橋本病):甲状腺が炎症を起こす

甲状腺腫瘍

甲状腺腫瘍には、良性の濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)や腺腫様甲状腺腫などと、悪性の甲状腺がんや悪性リンパ腫など、また、両者が合併しているケースがあります。

(1)良性腫瘍

甲状腺腫瘍の8~9割は良性です。

大きくなってくると首の腫れやしこり、ものを飲み込む時の違和感などの症状がでてきます。

最近は、乳がん検診時に甲状腺の超音波検査をするようになりましたので、良性腫瘍のほとんどをなす10㎜以下の微小な腫瘍が発見されやすくなってきています。

(2)悪性腫瘍

悪性腫瘍には、乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、悪性リンパ腫、未分化がんの5種類があります。

最も多いのは乳頭がんで80~90%を占めます。

次いで濾胞がんが4~8%、髄様がん・悪性リンパ腫・未分化がんは、いずれも1~2%と稀な病気です。

甲状腺疾患の原因

甲状腺疾患は自己免疫性疾患といわれていますが、明確な原因はわかっていません。

遺伝の可能性が高いのではないか、という見方があるものの結論には至っていません。

ですから、家系に甲状腺の病気の人がいるからといって過度に心配する必要はありません。

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ
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「武者震い」はなぜ起こる? [医学・医療・雑感小文]

交渉事や駆け引きなど、重要な判断が求められる局面に臨んだとき…
気持ちが高ぶってカラダが震えるような経験をしたことはありませんか?

このような状況での身震いは、昔から「武者震い」と呼ばれています。

この感覚を科学的に説明することはできるのでしょうか?

武者震いの生理的メカニズム

気持ちが高ぶって自然に身体が震えてしまう「武者震い」。

風邪やインフルエンザによる発熱と比較すると、「心因性発熱」といえるかもしれません。

風邪などによる震えは寒さからくるものですが、これは、筋肉を動かして体熱を得ようとする生理反応です。

このような「身体的発熱」の場合、症状の強さは「プロスタグランジンE2」と呼ばれる発熱物質の量によってきまるそうです。

つまり、風邪やインフルエンザに罹患し、感染したウィルスや細菌の量が多いほど、プロスタグランジンE2も脳の血管壁で多く作られ、発熱や震えも強まるという仕組みです。

しかしながら、武者震いの場合は、身体が震えたり鳥肌が立ったりしても、プロスタグランジンE2とは無関係だといいます。

ですから、武者震いには解熱鎮痛剤が効かないのだそうです。

ストレス環境から生まれる「武者震い」

中村和弘氏(京都大学所属時の研究、現名古屋大学教授)らによるラットを使った実験で、敵に狙われて命の危険にさらされる高度なストレス環境をつくりだしたところ、体温が平熱の37℃から2度も上昇し39℃に達したという結果がでました。

これは、強いストレス環境下で生じた「戦うか、逃げるか」という急性ストレス反応です。
体温を上昇させ身体の動きを最大限にまで高める、生存をかけた現象であると解釈されています。

この体温上昇の反応には、自律神経系の交感神経の働きがかかわっています。

とくに、動物の場合は「立毛筋が収縮して毛が立ち、空気の層ができ、体温を逃がさないように作用し、体温上昇に寄与する」のだそうです。

ところが、人間は体毛が少ないため、代わりに骨格筋を震えさせて体温を上げ、身体的なパフォーマンスを向上させているのです。

以上が、中村和弘氏らによる武者震いのメカニズムの仮説です。

アドレナリンの影響(別の見解)

一方、アドレナリンの影響を指摘する別の見解もあります。

アドレナリンとは、興奮や緊張などにより交感神経が優位になったときに、副腎髄質から分泌される神経伝達物質(ホルモン)です。

このホルモンは、動物が生死の危機にさらされたとき、「闘争」か「逃走」のいずれかを実行するために分泌されます。

いわゆる、踏ん張りどころで分泌されるホルモンなのです。

ですから、臆しているわけではないのに身体が震えてしまう武者震いは、気力がみなぎり緊張状況に立ち向かっていく行為のサインということで、アドレナリンの関与が指摘されるのでしょう。

「武者震い」のしすぎにもご用心

アドレナリンはノルアドレナリンから生成されます。

そして、ノルアドレナリンはドーパミンから生成されます。

いずれも、私たちの意欲や頑張りに貢献するホルモンです。

これらホルモンは、適度に分泌されればストレスに対してプラスの作用に働きますが、過剰な分泌には注意が必要です。

パニック発作の誘発や、慢性的なストレスが高じてうつ病や不安障害、自律神経失調症といった疾病につながるリスクをともないます。

あまりにも頻繁に武者震いで奮い立っているのも、身体に弊害をもたらすといえるかもしれません。

【参考】
脳科学辞典『体温調節の神経回路』

山本 恵一(メンタルヘルスライター/株式会社とらうべ副社長)。   

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